手術後の経験で思ったこと

手術から約8ヶ月後、妻に補助で付き添ってもらい、手術後初めて電車に乗りました。

体が自由に動かないので、ホームと電車の間に出来るちょっとした隙間や、ちょっとした段差を乗り越えるのも一苦労です。

電車に乗り込むときは、入り口の所にある手摺りに掴まりながら乗ると楽なのですが、なかなかそうも行きませんでした。

僕の場合は左手も麻痺しているので右手で掴まるようにして乗るしかありません。

しかも入り口の手すりの近くには大体の場合、人が寄りかかるようにして立っていて、なかなか手すりに捕まって乗り込む機会が無いのです。

もう一つ、電車に乗っていて思ったことが、シルバーシートの存在が形だけのものになってしまっているということです。

電車のなかを移動するのは困難なため、あらかじめシルバーシートの近くに乗り込んでいたのですが、杖を持って立っている僕に席を譲ってくれる人はごくわずかで、なかなか座ることが出来ませんでした。

「席を譲ってもらえませんか?」

と自分から言えば譲ってくれる人もいるのかも知れませんが、そこまでするのはどうしても気が引けてしまいます。

普通に見える人の中にも外見では分からない障害を持っている人や体調が悪い人もいるのだとは思いますが、ほとんどの人が五体満足であるにも関わらず障害者用のシートを占領していることが残念でなりませんでした。

手術から約1年後には、一人で電車に乗ることも増えてきましたが、その頃にはシルバーシートの前に立たないように意識するようになりました。

なぜなら、シルバーシートの近くに立つとどうしても席を譲ってもらえることを期待してしまい、その後に落胆することが多かったからです。

時にはちょっと離れた席の人が声をかけてくれて席を譲ってくれたにも関わらず、体の不自由な僕がその席にたどり着く前に、他の人がその席に座ってしまうこともありました。

ただ、親切な人ももちろんたくさんいて、一般のシートの前に立っていても、心優しい人は席を譲ってくれたりします。

結局、シートを譲るか譲らないかというのは善意の問題で、善意の人が席を譲ってくれるならシルバーシートなんていらないと思いました。

電車以外でも、思いがけず他人の振る舞いに悔しい思いをすることはよくあります。

例えば。スポーツジムの更衣室でベンチに荷物を広げている人がいて、ベンチに座らないと着替えられない僕は、その人が去るのをただじっと待っているしかありませんでした。

また、出入口などではドアを開けて待っていてくれる人がいる反面、僕が苦労してやっと開けたドアに割り込んで通る人もいました。

そんな経験から、最初の頃は家に帰ると、妻に今日はこんなことがあったと愚痴を話したり、外に出るのが嫌だと思ったこともありましたが、今では精神的に強くなったせいか、恐れずに外に出る機会を増やすようにしています。

話はまるっきり変わりますが、ワイドショーなどをみていると「5時間に及ぶ大手術」というような表現をしていることがあります。

多分、以前の僕なら5時間もかかったら長くて大変だったろうなぁと思ったでしょう。

しかし、実際のところ僕は約24時間も手術室にいたわけで、今では数時間の手術と聞いてもあまり大手術だと感じなくなってしまいました。

もちろん何の病気の手術で、どんな手術をしたのかにもよるとは思うけど、何事も経験によって見方は変わるものだな、と思います。

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